▽最近、米国発のオンラインニュースが反復流産の治療に関する見解を取り上げました。今回は、その内容をご紹介します。筆者は、ハンガリーの首都ブタペストにある「Kaali Institute IVF Center」のピーター・コバク博士です。

▽さて、原因不明で繰り返される特発性流産や妊娠初期の子宮内の胎児死亡は、妊娠の15-25%の頻度で起こります。多くは、染色体異常が原因と考えられています。2回または3回以上繰り返すと反復流産とされますが、流産の3-5%を占めています。

▽反復流産(妊娠ロスとも呼ばれています)は詳しく検討されています。女性が35才以上、男性が50才以上、ストレス、喫煙、過度のアルコールやカフェイン摂取、環境因子、慢性子宮炎症などが、背景因子に挙げられています。

 ▽反復流産の診断には十分な医学的評価が必須です、遺伝子、血液、ホルモン、免疫などの検査が実施され、さらに子宮腔内の異常の有無も検査が必要です。

▽問題点が絞り込まれたら、適切な治療が可能です。しかしながら、反復流産の少なくとも50%は、問題点が不明で、特発性(原因不明)の反復流産とされます。

 ▽特発性反復流産の治療では、いろいろな治療法が試みられてきました。しかし、アスピリンの治療は有効性が認められていません。低分子ヘパリン治療も有効性はありません。

▽プロゲステロン(黄体ホルモン)療法は2つの大規模研究があります。一つは、有効性が認められず、他方は高い有効性が認められています。

▽免疫グロブリン治療も有効性が認められていません。そのほか、様々な治療法が試みられていますが、反復流産の唯一の治療法で推奨されるのは、排卵後からのプロゲステロン療法です。

▽患者や家族は、原因不明というのはいらだたしい限りでしょう。仮に異常(原因)が明らかになっても、治療法に効果が期待出来ないのですから。

▽原因として子宮奇形などが明らかになれば、手術治療で結果が期待出来ます。ホルモン異常の原因が浮かび上がれば、治療の効果は期待出来ます。

▽血液異常が原因と考えるのは疑わしいでしょう。ヘパリンには有効性は認められませんでした。カップルに遺伝子異常がある場合、体外受精で受精卵の検査も可能でしょう。

▽特発性反復流産に対する免疫異常の関与も調べられました。しかし、免疫的観点からの治療法は何ら良い結果を認められていません。特発性反復流産の患者は、治療への期待をなくし、チャンスがあれば何でもやってみると考えているようです。

▽ただ次の点も考慮する必要があります。すなわち、特発性反復流産の患者が何の治療もせず、妊娠を継続して分娩することもあります。

▽今回過去の文献を検討した結果から、特発性反復流産治療に効果を認めたのはプロゲステロン療法のみでした。患者には、適切にカウンセリングし、無治療という選択もあるのを説明し、重篤な副作用がある半面、あまり効果のない治療法は避けるべきでしょう。

 

参考文献

1.The Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Definition of infertility and recurrent pregnancy loss: a committee opinion. Fertil Steril. 2013;99:63. Abstract

2.The Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Evaluation and treatment of recurrent pregnancy loss: a committee opinion. Fertil Steril. 2012;98:1103-1111. Abstract

3.Guideline of the European Society of Human Reproduction and Embryology. Recurrent pregnancy loss. 2017; 1-154. Source

4.Rasmark Roepke E, Hellgren M, Hjertberg R, et al. Treatment efficacy for idiopathic recurrent pregnancy loss?systematic review and meta-analysis. Acta Obstet Gynecol Scand. 2018 Mar 30. [Epub ahead of print] Source