▽女性は男性と比べて脳卒中を発症するリスクが高いことが分かっている。女性でも特にそのリスクが高い人は、どんな特徴があるのだろうか。米ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院のKathryn Rexrode氏らは、過去の研究論文のレビュー(考察)に基づき、女性の脳卒中リスクを高める因子を特定し、医学雑誌『Stroke』の28日付オンライン版で報告した。

 

▽米国では脳卒中の年間発症者数は女性が男性を55,000人上回る。しかし、女性は男性と比べて脳卒中リスクが高く、死亡率も大幅に高いことはあまり知られていないという。今回、Rexrode氏らは女性は男性よりもなぜ脳卒中リスクが高いか、どのような要因が女性の脳卒中リスクを引き上げているかを調べるため、女性に特徴的な因子と脳卒中リスクとの関連を検討した複数の研究データを収集し分析した。

 

▽その結果、女性の脳卒中リスクに強く関連する複数の因子が浮かび上がったという。リスク因子は、「初経が早い(10歳未満)」、「閉経が早い(45歳未満)」、「デヒドロエピアンドロステロン(男性ホルモンの一種)の分泌量が少ない」、「避妊用ピルの使用」、「更年期障害に対するホルモン補充療法(エストロゲン製剤服用)」、「妊娠中/周産期の合併症」、「妊娠糖尿病」、「妊娠中の高血圧/妊娠高血圧腎症」などだった。

 

▽さて本題です。Rexrode氏らが挙げている「避妊用ピルの使用」や「更年期障害に対するホルモン補充療法(エストロゲン製剤服用)」が、果たしてリスク因子になるのでしょうか?脳卒中リスクとの関連を検討した複数の研究データを収集し分析した結果という説明ですが、エストロゲンをリスク因子と捕らえるのは、はなはだ疑問です。

 

▽女性は、なぜ女性らしく健康に生きられるのでしょうか? それは、女性ホルモンのエストロゲンのおかげといえます。なのに、エストロゲンをリスク因子とするのは、女性が女性であることを否定するのに他なりません。

 

▽データが少し古いですが、世界のピル服用者は1億500万人以上います。Rexrode氏らの報告を、世界のピル服用者にどう説明すべきでしょうか。私たち臨床家は本当に困惑しています。

 

▽「これらのリスク因子がある女性は珍しくない。このうち1つ、あるいは、2つ以上の因子があったとしても、実際に脳卒中を発症する女性は極めて少ない」。Rexrode氏は、そう強調しています。

 

▽しかし一方で私たち医療従事者には、「リスク因子がある女性は注意深く経過を観察すべき。本人にもリスクが高いことを認識してもらい、高血圧リスクを低下させ脳卒中を予防するため健康的な生活習慣を身につけるよう促すことが望ましい」と“助言”しているのです。これでは、何を言いたいのか分らない、と首を傾げるのは私だけでしょうか?

 

文献文献Demel SL, et al. Stroke. 2018 Feb 8. [Epub ahead of print]