皆さんは、現在切迫早産や妊娠中毒症の治療目的で医師が使用しているマグネシウムが、動物実験ですが、母獣(ぼじゅう)(動物では、母体(ぼたい)とはよびません)がストレスに置かれると、胎仔(動物では、胎児(たいじ)

胎仔(たいし)と呼びます)の脳の血液の流れを悪くして、さらには死亡させる原因となっている事をご存じですか?

 1996年に国際麻酔学会雑誌に米国のアラバマ大学産科麻酔教室のJDレイノルド先生らが発表した論文からです。

実験内容です:1.羊の妊娠期間は、平均147日ですが、実験では、妊娠120日のものを使用しています。2.胎仔にカテーテルを入れて、胎仔にマグネシウムを注入し、胎仔の酸素濃度を見ています。3.母獣へのストレスは、体重1kgあたり5ccの血液を10分かけて採血(血液量を減らす)し、5分休み、同様な採血をさらに3回(計4回)行っています。4.胎仔へのマグネシウム注入量は、マグネシウム0.25g(低用量のマグネシウムがヒトの切迫早産に使用されているときの胎児の濃度と同じ量)と0.30g(中用量のマグネシウムが切迫早産に使用されているときの胎児の濃度と同じ量:Creasy RK, Resnik R.Maternal –fetal medicine.Philadelphia:WB Saunders,1994 )です。



結果です:1.胎仔への生食水注入では、投与前の胎仔の酸素濃度と投与後で変化ありませんが、マグネシウムの投与前と後では胎仔の酸素濃度は約30%下がりました。2.マグネシウムの投与は、母獣へのストレス(採血というストレス下におかれている母獣にマグネシウムを投与)で胎仔の死亡を増加させ(0.25gで20%死亡、0.3gで50%死亡)、3.また母獣へのストレスに耐えるべく、コントロールの生食水注入では増加する脳血流が、マグネシウムの投与で減少する事が明らかになっています。(ストレス下におかれている母獣の胎仔は血流を上げて酸素を取り込む反応をする。これが通常の反応すなわち生理食塩水だけの場合。これがマグネシウムになると通常の反応ができなくなっている。)



JDレイノルド先生らは、妊婦へのマグネシウムの投与は、胎児の状態を悪化させるのみでなく、脳血流の減少がもたらす胎児の脳神経系の発達への影響にも警告を出しておられます。

論文:Reynolds JD et al. Magnesium sulfate adversely affects fetal lamb survival and blocks fetal cerebral blood flow response during maternal hemorrhage. Anesth Analg 1996;83:493-9.





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