切迫早産治療薬ベーター剤*の長期使用で、新生児に拡張型心筋症が発症した症例について以前私のブログで紹介しました。

最近、心臓病財団が日本の小児拡張型心筋症の発生頻度に関するデータを発表したので紹介します。



*:交感神経のアドレナリン受容体を刺激する作用がある薬。ベータ刺激剤や/作動薬とも呼ばれる。喘息の治療などに使われる。逆にベータ遮断薬は心臓の興奮を抑える作用がある。



日本心臓財団によれば、日本全国で子供が心筋症を発症する数は70-100例、これらは、心筋が発達せず薄くなり心臓全体が大きくなる拡張型心筋症と心筋だけが肥大する肥大型心筋症、その他と大きく分けられます。しかしこれを年齢別でみてみると、1歳以下で発症した例は圧倒的に拡張型が多かったのです。実際、平成21年のデータでは38例中22例、つまり半数以上は拡張型で、これを6歳以上でみると両型はほぼ同数となっているのです。なぜ、生まれて間もない赤ちゃんは拡張型心筋症、つまり生まれる前から心臓の筋肉が発達しない病気にかかるのでしょうか?

心筋症の原因は、遺伝説やウイルス説がありますが実のところよくわかっていません。私は、生まれる前の胎児の段階での影響が大きいと考えています。例えばベータ刺激薬やマグネシウム剤*などの過剰投与です。胎児期で副作用に暴露されると生まれてすぐに発症する可能性が高いと考えられます。その他の原因では生後しばらくしてから発症する場合もあるでしょう。私は小児拡張型心筋症の症例を過去に遡って、妊婦さんがどのような治療を受けたのか調べる必要があると考えているのです。



心筋症は以前は治療が難しい病気でした。しかし、現在は外科治療が発達し生存率も上がっています。また効果の高い心臓移植も2010年から15歳未満の患者さんに施行できるようになりました。せめてもの救いです。しかしまずは原因を突き止める努力が必須と思うのです。



*:以前の私のブログでも紹介しましたが、妊娠中毒症で人に使用されている量のマグネシウム剤を過量投与されたラット胎仔の心筋組織の血管形成ができていない実験結果から、心筋が薄くなる拡張型心筋症のリスクが示唆されます。









参考:公益財団法人日本心臓財団  子どもの心臓病について

http://www.jhf.or.jp/child/index.html