豊かな国、日本での生活は皮肉なことに妊婦さんにとって妊娠中毒症の危険が隣り合わせであるといえる、と以前の記事で述べました。

最近では、妊娠中毒症の三大症状(むくみ、たんぱく尿、高血圧)のうち、高血圧が最も大切なことから、妊娠中毒症とは、妊娠による高血圧症であるとする考えが世界的な傾向です。そこで、妊娠中の血圧について少し考えてみましょう。

 ところで、ヒトの血圧とは、どのようなものでしょうか?それは心臓からその搏動とともに血管へ押し出される血液量(心拍出量)と、血管の緊張の程度(血管抵抗)とを掛けたもの(血圧=心拍出量×血管抵抗)といえます。

 胎児が発育するため必要とされるからでしょうが、妊娠の後期には、妊娠していない時と比べ、心拍出量は40%、循環血液量(全身の血管の中をぐるぐる回っている血液量)50%も増加します。従って、先ほどの血圧の考えを当てはめると、妊娠後期の妊婦さんは、その妊娠が順調でも、みな高血圧になってしまうことになります。



ホームドクターすこやかに”愛知県医師会編 1993年9月1日毎日新聞社発行の分担執筆妊娠中毒症から編集