妊娠中毒症は、その原因が不明のため、病気そのものを治療する方法は現在のところありません。それぞれの症状(むくみ、高血圧、たんぱく尿)を抑える対症療法しかないので、予防が大切です。定期健診で早期発見し、症状が現れたら、早いうちにその悪化をくい止めることが肝心です。

ご自分で発見するように努めましょう。分かりやすいのは“むくみ”で、むくみがあれば向こうずねを指で押してみると、へこんだまま戻りません。また体重が1週間に500グラム以上増えたときはむくみがあると考えてください。

ところで、意外にも、妊娠が順調であれば、妊娠中期には皆さんの血圧は妊娠前期と比べて、下降することが多いようです。若年初妊の方の妊娠中期の血圧は、最高100110、最低6070がふつうです。一般的に高血圧とされるのは(妊娠中毒症も同じ)、最高140、最低90を境とします。一般の成人で最高120、最低80なら理想的とされますが、若年初妊の方で妊娠中期なら、この血圧はやや高めといえます。あなたの血圧が妊娠中期で降下すれば順調です。

健診で尿たんぱくが指摘されたら、要注意です。しかし、妊娠後期では“おりもの(帯下)”が増えます。検尿の時は、尿量が少ないと尿に帯下がまじって尿たんぱく要請、とされますから注意しましょう。また、出始めと終わりの尿は捨てて中間尿をとるように工夫しましょう。


ホームドクターすこやかに”愛知県医師会編 1993年9月1日毎日新聞社発行の分担執筆妊娠中毒症から編集