2013年07月

ディオバン(ARB系)の基本特許をもつ武田が、その開発に立ち遅れたワケ(その1)

前回のブログで、サルタン系の降圧薬の作用の基本は、ヒトの体に存在するアンジオテンシンという最強の血圧を上昇させる(血管収縮)ホルモンが、血管に働く作用を抑えることと説明しました。従って、各種のサルタン系降圧薬の間で、その働き(薬効)に著しい差が生じるという考え方は、根本が間違っています。

今回のディオバン(バルサルタン)をめぐる不祥事の表面化は、海外の雑誌社が、ディオバンと他のサルタン系降圧薬との間に薬効の差があると書かれた京都府立医科大グループの最初の論文をおかしいと考えていたこともあると思います。

京都府立医科大グループの臨床研究のデータの“不自然さ”を指摘した京都大の循環器内科医の論文を、同じ雑誌社が掲載したのは、その証拠ではないでしょうか。

さて、新薬の開発では基本特許を持っている会社が、最初に開発に成功するのが一般的です。ところが、サルタン系降圧薬の開発では、そうなりませんでした。世界で最初に開発に成功したのはアメリカのメルク社。あの赤い表紙の「メルクマニュアル」という家庭向け医学事典を発刊している会社です。開発に成功して、ニューロタンという製品名で売り出しました。

 武田薬品がメルク社の後塵を拝したのです。なぜ、そんなことになったのでしょう。皆さん、不思議に思われませんか?



 実は、武田薬品の基本特許を降圧薬にする試みは、製薬会社ではなく、なんとフランスの繊維会社ディポン社のZimmermann(ジンマーマン)(写真最前列の左から7番目の人物)らの研究グループが進めていたのです。畑違いだったから、武田薬品もマークしてなかったのでしょうか。

私は1989年2月、アメリカ・カリフォルニア州のCasa Sirena Marina ホテルで開かれたアンジオテンシンゴードン会議に一般参加しました。

ゴードン会議は、世界中でその分野を研究している100人程度の限られた研究者が集まり、未発表の研究成果を報告する秘密性の高い会議です。

Zimmermannの存在を知ったのは、その会議でした。私は、Zimmermannの研究成果の報告を、必死にメモを走らせながら聴きました。もちろん驚きました。

報告後のワインパーティーで、私はZimmermannに「あなたの素晴らしい研究は一体どこにヒントがあったのですか」と英語で尋ねました。彼は「この考え方は、日本の製薬会社、武田薬品の特許にある」と答えてくれました。

会議が終わると、私は帰国しました。そしてまたもや驚くべき話を知ることになるのです。



IMG_0002


 

Dr。水谷のお産講座(No.8)ディオバンは、他の降圧剤より優れているのだろうか?

読者の皆様方は、産科で使ってはならないお薬がなぜこんない多いのか・・という疑問をもたれたことはありますか?



産科、つまり妊婦さんに投与してはならない薬とは、たとえ妊婦さんには安全でもおなかの中の赤ちゃんに危険を及ぼす薬です。本当は、このような薬は実に多くあるのです。その一つが高血圧の薬です。



いま世間を騒がせている高血圧の薬、ディオバンもその一つなのです。なんと年間1000億円も売れているとは驚きですね。さらにびっくりすることは、ディオバンとほとんど同じような成分の薬が他に5種類もあり、どれも、アンジオテンシンという血圧を上げる物質が血管の組織にくっ付く場所をブロックするという作用に変わりないのです。ディオバンは商品名ですが薬の成分の名前はバルサルタン、他の薬はテルミサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、それぞれ、何々サルタンという名前が付いているように同じ種類です。従いまして、皆様はディオバンのみが、他の何々サルタンより優れているという理屈(今回のスキャンダルの根本です)には不自然さをお感じになりませんか?私は当初からこのような売り込み(研究)は全く根拠がないと思っていました。この薬の作用のメカニズムを理解しておれば当然と思います。この薬の基本特許は日本の武田製薬(カンデサルタン)が1989年の時点で所有していました。しかもそれぞれが数百億円も売上があります。従って世界の他の何々サルタンは全て10年間(特許の期間です)武田製薬に莫大な特許料を支払っていたわけです。

特許は1989年の時点からですが、その製品化(商品としての発売)は他社(米国のメルク社が最初に発売、ニューロタン)からの発売から数年遅れて発売(ブロブレス)されしました。



ここで重要なことは、これらの巨大売上を誇る薬の一つとして妊婦さんに使えるものはないのです。おなかの中の赤ちゃん(胎児)に影響するからです。今ほんとうに必要なのは、妊婦さんに安全に使える高血圧の薬ではないでしょうか?



妊婦さんの高血圧は妊娠高血圧症候群(かつては妊娠中毒症と呼んでいた)というたいへん危険な病気です。私が何十年も研究してきたアミノペプチダーゼこそ、この病気に効果があり妊婦さんとその赤ちゃんに対しても安全に使うことができる夢の新薬なのです。私の手元に、私が名古屋大学医学部退官時に、創設され5年間継続された寄附講座(プロテアーゼ臨床応用学、医学部の最初の寄附講座、グットマン社の当時社長、山本明氏のご厚意の多額の寄附の寄付金で運営されていたと思います)で研究していたときのデータがあります。まさにこの何々サルタンと成分1分子で比較すると2300倍も血圧を下げる効果が高かったことを証明するものです。つまり、極く僅かな量で効き目があるわけです。しかも何々サルタンと違い、胎盤を通って胎児へ行かないので胎児には影響しないわけです。だから妊婦さんに使えるのです。



1000億円の売上だけを目指すのではなく、製薬メーカーはこのような、待ち望まれている薬を開発して世の中に提供していくべきではないかとつくずく感じます。



夢の新薬アミノペプチダーゼについての論文も近く海外の医学専門誌(Expert Opinion on Investigational Drugs)にも掲載されます。また、私どものNPOでは「妊娠中毒症と早産の最新ホルモン療法」(南龍寿著、水谷栄彦編著、静岡学術出版社;アマゾンでも販売中\800-)という本を出版しています。現在使われている胎児に危険な薬のことも詳しく解説していますのでぜひ参考にしていただきたいと思います。


 


 


 


 


 


 

米国産婦人科学会がロボット手術の有用性を否定

米国産婦人科学会(ACOG)の会長は3月14日、ロボット手術の利点をうたう広告は多いが、ロボット子宮摘出術は、唯一または最善の選択肢ではなく、費用対効果の面でも優れていないとの見解を発表しました。

私はビックリしました。あなたは、ロボットに自分の子宮を摘出してもらいたいと思いますか?

手術は外科医が日夜切磋琢磨して自らの技術を向上させて、その結果を患者に安全・完璧な治療として返す事です。ある意味私は、手術は外科医個人がその道(手術)を極める、修行道と考えています。

ロボットにそのような精神(向上心)があるとはおもわれません。「患者には、最新技術のマーケティング戦略に踊らされることなく、十分な情報を得た上で選択ができるように、費用も含め、事実に基づいた情報を提供する必要がある」とも米国産婦人科学会は指摘しています。

高価なロボットが素晴らしい手術をしてくれるという宣伝は、企業の利益にしかなりません。いわゆる商業主義です。

米国産婦人科学会でこのような警告が出る事自体驚きですが、米国追従主義を止めない日本医療への警鐘の一つと受け止めるべきかも知れません。
最新記事
livedoor プロフィール
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ