2014年08月

Dr.水谷のお産講座 No.35「自閉症を子に持つアメリカのIТ企業経営者と自閉症患者の対話から見えてくる早産治療薬の危険性」

 
 米国で1974年、喘息治療薬を転用したテルブタリン(ブリカニール)という薬が、早産治療薬として認可されました。その後まもなく、日本でも適応外使用(Off-label)の早産治療薬として使用され始めました。

ただ日本では1986年、同じ系統のウテメリンが保険適応薬として認可されたため、以降はテルブタリンの使用は少なくなりました。とはいえ、今でも早産治療薬に使っている病院は少なくありません。

私は1982年に名古屋大医学部に助手として採用されました。テルブタリンが早産治療薬として広く使用されていました。当時、この薬の販売会社のMRが「この薬は保険適応外なので、なるべく早産の患者さんには使用を控えてほしい」と何度も訴えていたのを鮮明に記憶しています。

ところが、臨床現場では、ウテメリンが保険適応薬として認可されるまで使われ続けました。私は、テルブタリンによる眼を覆いたくなるような患者さんの副作用を黙ってみているしかありませんでした。

この辺りは、2012年9月5日のブログ「ウテメリンの副作用」を参考にしてください。

それでも私は、大学で働きました。この薬が使用されたことへの責任の一端を免れるものではありません。しかし個人的には、テルブタリンやウテメリンを処方したことは今まで一切ありません。

なぜ、この2つの薬を使わずに患者さんの治療が出来たのか? その答えは2012年9月27日の「ブログ」に書きました。

前置きが長くなりました。

さて、米国には自閉症・アスペルガー(自閉症の一種)協会という自閉症支援団体(http://www.usautism.org/conferences/index.htm)があります。この協会は、Lawrence P. Kaplan, PhD Chairman, CEOが、自分の子供が自閉症と診断された1995年に設立しました。この協会は、自閉症への啓蒙や教育など、米国で多彩な慈善活動をしています。Lawrence P. Kaplan氏はアメリカの有名なIТ企業などの経営者です

Kaplan氏は、協会が発行する広報誌の編集者で、彼の自閉症患者さんに対するラジオインタビュー(2005年8月)をインターネットで視聴できましたので、その要旨をご紹介します。


自閉症は、ともすると自殺にも結びつく重大な精神障害と考えられています。実際、思春期の、特に男児に兆候が表れることが多いとされています。しかし、これが何とお産の時に使われている、ある薬が過量に投与されたことが原因の一つではないかと疑われているのです。

以下は、L P Kaplan理事長と患者(Teri Small)さんのラジオインタビューの一部です。

Teriさん―米国ではテルブタリンという薬が早産の危険性がある妊婦さんにたびたび使われていると聞いています。テルブタリンとはいったいどんな薬なのですか?

Kaplan理事長ー実はテルブタリンはぜんそくの治療薬なのです。ぜんそく発作のとき、気管の平滑筋を収縮しないようにして呼吸を楽にする作用があるからです。テルブタリンは子宮の筋肉の収縮も抑えますが、他の内臓筋肉、例えば、心臓などでは興奮させて心拍を早めます。米国FDA(食品医薬品局)はテルブタリンを1974年に早産治療薬として認可しましたが、現在では早産への使用は認められていません。現在は適応外使用(Off-label)として、早産の重症例に短期間のみ使用されています。つまり本来使うべき疾患ではない別のものに使用する、いわゆる、適応症外の薬の使用なのです。


Teriさんーでは、なぜテルブタリンが早産治療薬として使用されるのですか? そしてまた、早産に使用されているテルブタリンの量は、喘息に使用される量と同じですか? あるいは、もっと量が多いのですか?

Kaplan理事長ーしかし、実際、他に良い治療薬がない場合は、このように薬の適応症外使用は相当多いのです。ただし、テルブタリンの場合は、ぜんそくで使用される量よりも、かなり多量に投与されているのです。さらに問題なのは、妊婦さんには安全だとしても、果たしてそのお腹の中の赤ちゃん(胎児)に影響があるのか、ないのか、全く分かっていなかったのです。

eriさんの父親のコメント「私の妻(Teriさんの母親)が投与されたテルブタリンの量は分りません。しかし、2人の男児(Teriさんともう一人)が生まれる前の30日間、妻はテルブタリンが投与されました。その後、テルブタリンよりさらに強い早産治療薬の硫酸マグネシウムの投与をうけました」。

eriさんー母体と胎児へのテルブタリンの副作用は?

Kaplan理事長ー大変良い質問です。テルブタリン治療を受けた妊婦さんの多くの方は、母体と胎児へのテルブタリンの副作用についてはご存じないと思います。(ここで、テルブタリンの副作用の説明がありますが、省略します。2012年9月5日のウテメリンの副作用のブログを参考にしてください。ウテメリンもテルブタリンも基本的に同じ薬です)。


自閉症とテルブタリンの関連性とは?

eri さんージョンホプキンス大学の2卵性双生児の研究のお話を教えてください。

Kaplan理事長ージョンホプキンス大学病院の産科グループが行った調査結果があります。双子で産まれた兄弟姉妹の症例を追跡した結果です。双子の2児ともに自閉症と診断された症例と双子のうち1児だけが自閉症がみられた症例を比較したのですが、前者ではテルブタリンを投与された症例が有意に多かったのです。つまり、双子は出生体重が小さくなりやすく、とくに小さい方の児が自閉症の危険性が高いのですが、テルブタリンを投与されている場合は2児とも自閉症の率が高かったのです。言い換えると、低体重以外の副作用が追加されたのではないかということです。ただし、注意すべきことは症例数が少なく因果関係を証明したものではありません。

eri さんーこのことは多くの医師や患者さんは知っているのでしょうか?

Kaplan理事長ー知っている人は少ないと思います。しかも、多くのお産は予定日と大きくずれないで正常に産まれますから、恐らく薬の名前すら聞いたことがないという方が大部分でしょう。一方、医師は、ほとんど例外なく一定のマニュアルに沿って処置しますから、過去の事例などを参考にしてテルブタリンを処方します。有効な薬がなく、未熟児でも帝王切開で産むことしかできない現状では手段がありません。

eri さんー妊婦さんや家族の方に知らせるにはどうしたらよいですか?

Kaplan理事長ー早産の危険性に晒されている妊婦さんは、常に急性です。医師も患者も、その瞬時に薬の投与や手術を決めなければなりません。ですから、前もって早産の可能性がある場合は、どのような薬を使うのか、よく相談して納得されてから、万が一の時には速やかに処置すべきです。ただ実行するのは煩雑で、しかも薬との因果関係がはっきり分かっていないことも含めて患者さんらに説明するのは簡単ではありません。

eri さんーテルブタリンの胎児に対する影響は動物実験などでもっと詳しく調べられないのでしょうか?

Kaplan理事長ー実は、すでにいくつかの研究報告があります。これもある有名な大学で行われました(2)。妊娠したラットにテルブタリンを投与し、それから産まれた胎仔の脳組織を調べた実験があります。それによると、小脳にある神経線維細胞の数が減って、同時に組織層が薄くなっていることが分りました。この変化は、自閉症に特徴的なものなのです。

eri さんーこのことに対するFDA(米国食品医薬品局)の措置は?

Kaplan理事長ーFDAは既にテルブタリンに対する警告を発信しています(3)。テルブタリンの胎児に対する長期的な影響や有害作用については注意する必要があり、できるだけ安全性が疑われるような薬剤は使わないということでしょうか。仮に代替治療があるならば、そちらも考慮する必要があります。しかし何といっても、産科の薬を積極的に開発してくれる企業が出てくることと、それを支援する国の政策が絶対必要だと思います。


(1)Witter FR. Zimmerman AW.et al. In utero beta 2 adrenergic agonist exposure and adverse neurophysiologic and behavioral outcomes. Am J Obstet Gynecol. 2009 Dec;201(6):553-9.

(2)Rhodes MC et al. Terbutaline is a developmental neurotoxicant : effects on neuroproteins and morphology in cerebellum, hippocampus, and somatosensory cortex. J Pharmacol Exp Ther. 2004 Feb;308(2):529-37.

(3)FDA Drug Safety Communication: New warnings against use of terbutaline to treat preterm labor," at the following link: http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm243539.htm





 

 

 

 

 

 

 

Dr水谷のお産講座No34。「流産・早産の原因や陣痛が始まるのを、そう難しく考える必要はありません。」




さて「お産講座No 19」(6月11日)で、胎児が分泌するホルモン(バゾプレッシンやアンジオテンシン)胎児・母体関門は、ホルモン分解酵素であるとお話ししました。胎児が分泌するホルモンが増えると、簡単に母体血液プールへ流出する可能性がある、と胎盤の構造を説明する際に申し上げました。

理論上は確かにそうなのですが、実際は、そうはなりません。なぜなら、胎盤に存在するアンジオテンシン分解酵素(APA)とバゾプレシン分解酵素(P-LAP)が、胎児側から母体側へのホルモンの流出を防いでいるからです。

APAやP-LAPは、妊娠の進行とともに妊婦の血液中に増加するため、胎盤と妊婦血中の“二段構え”でバゾプレッシンやアンジオテンシンが母体側で作用せず、妊娠が順調に進むようになっているのです。

このような考えを理解していただければ、妊婦の血液中のAPAやP-LAPの測定は、産婦人科医が妊婦健診の際に盛んに行っている、超音波法によるリアルタイム(妊婦と胎児の現状を見る)検査法に勝るとも劣らない簡単な胎児well-being(元気に育っているか) の評価法なのです。しかも簡単な採血だけで済むので医療費もかかりません。

「お産講座NO26」(7月30日)などで述べましたように、最近の産婦人科診療のガイドラインは、胎児well-beingの評価法には、どういうわけか生化学的な検査法(妊婦血中のAPA、P-LAPの測定)は、除外されているのです。

私が大学に在職中は、-LAPの測定は保険適用の診療項目になっていました。それが大学退職後間もなく、P-LAPの測定は保険適用の診療項目から外されました。どうしてなのか、今でも分かりません。

胎児は、バゾプレッシンやアンジオテンシン、オキシトシンなどのホルモンの分泌量を、自らの発育とともに増やしていきます。私は、これらのホルモンは胎児が子宮内発育に必須のホルモンと考えています。

言い換えると、胎児発育のエネルギーになっていると思うのです。バゾプレッシンやアンジオテンシンは度々述べたように、胎児がストレス(酸素不足など)に曝されると、その量が著しく増加します。

バゾプレッシンとオキシトシンは親戚のようなホルモンで、その構造がそっくりです。アミノ酸の種類が1つ異なるだけです。バゾプレッシンは血管収縮作用と子宮収縮作用があります。オキシトシンは主に子宮収縮作用です。そして、バゾプレッシンはストレス反応ホルモンです。ところが、オキシトシンはむしろ胎児成長に正比例してその量が増えていきます。即ち、胎児成長のマーカー(指標)ホルモンのような存在です。

胎児が作るバゾプレッシンとオキシトシンの割合は、圧倒的にバゾプレッシンの方が多く、胎児が成熟する、即ち分娩が近づくと、少しずつオキシトシンの割合が増えるのです。ただバゾプレッシンとオキシトシンの割合が均等になるのは、赤ちゃんが誕生した後、相当の期間たってからです。

ここで、妊娠の2大疾患である、妊娠中毒症と流産・早産の原因のすべてとは言いませんが、私が考えている主な原因をご説明します。

まず、母体へのストレス(過剰な労働など)です。母体がその活動(労働)のために酸素をより多く必要として、胎児への酸素供給が減ってしまいます。その結果、胎児はバゾプレッシンやアンジオテンシンを多く作って、ストレスに耐えようとします。

バゾプレッシンやアンジオテンシンにはAPAやP-LAPの胎盤酵素を増やす働きがあります。ストレスが軽い段階では、胎児がバゾプレッシンやアンジオテンシンをある程度まで増やしても、胎盤が胎盤酵素を増やして母体側へ流出しないように防御する仕組みになっています。

ところが、ストレスが酷く、また継続すると、バゾプレッシンやアンジオテンシンはどんどん増えていきます。「お産講座No16」(6月5日)の胎盤の解剖図を思い出してください。

増え続けるバゾプレッシンやアンジオテンシンは、クリスマスツリーの幹と枝の血管周囲の平滑筋を締め上げてしまいます。その結果、クリスマスツリーの葉のAPAやP-LAP(胎盤酵素)は、次第に酸素が欠乏して酵素を作れなくなってしまうのです。

事実、軽症の妊娠中毒症では母体のAPAやP-LAPは正常妊娠と比べて増加しています。ところが、妊娠中毒症が重症化すると、APAやP-LAPは正常妊娠と比べて次第に減っていきます。 

さらに切迫早産の状態が進行しても同様で、-LAPが、正常妊娠と比べて、次第に減り続けるのです。


妊娠中毒症と流産・早産の原因は、極めてシンプルにご説明できます。

ストレス環境で胎児はバゾプレッシンやアンジオテンシンを増加させます。その結果APAやP-LAPが低下し、「お産講座No19」(6月11日)で述べた胎児・母体関門は破綻します。母体側へ溢れ出るバゾプレッシンやアンジオテンシンは、母体血管を収縮させ血圧をあげます。バゾプレッシンは特に腎臓の糸球体の極めて細い血管を収縮させるため、尿の量が減って妊婦のむくみ、即ち体重増加につながります。また子宮を収縮させて切迫早産の伏線となります。

陣痛の原因もそう難しくありません。私は次のように考えています。

胎児が成熟・発育するとともにオキシトシンの量が増えて、バゾプレッシンとの比率が変化していきます。

2013年、米国、アルゼンチン、デンマークの施設で行われた早産の原因となる可能性のある遺伝子の共同研究論文を御紹介します。米国アイオワ州立大の解剖・細胞生物学教室のもと、米国マギ―ウィメン病院、ピツバーグ、ロチェスター大学、NY 州、ウェイクホレスト大、ニューキャスル州、アルゼンチンの2施設、ヘルシンキ大、フィンランド、デンマークの国立周産期施設の協同研究です。著者らは、オキシトシンの代謝経路に関わるタンパクの遺伝子変異を調べました。その結果オキシトシンの分解酵素であるP-LAPのみが、その遺伝子変異と早産のリスクに相関があったとする結果です。オキシトシンやそのレセプターの遺伝子変異と早産には全く相関が見られないとする結果であり、P-LAP(オキシトシン破壊酵素)が早産の原因の物質である可能性はかなり大きいのです。共同研究論文に、私の随分前(1982年)の研究論文が、引用されています。その文章をまず英語で紹介します(文献1)The activity of P-LAP is known to gradually increase during late pregnancy and reach a very high level at 11 days before the onset of labor. 翻訳すると、妊婦の血液中のP-LAPは妊娠中徐々に増えていき、陣痛が始まる11日前が最高値となる。

解説すると、陣痛が始まる11日前には妊婦の血液中のP-LAPは最高値となり、それ以降は頭打ちになってP-LAPは増えていきません。一方、胎児のオキシトシンの量はどんどん増えていき(文献2)、母体側へ溢れ出るオキシトシンが子宮を収縮させて陣痛が来るのです。

「お産講座No.9」以降は、主に私が1994年に日本産婦人科学会で講演した内容を基に書きました。なので、内容は産婦人科のお医者さん向けです。一般の皆さんには少し難しいお話だったかも知れません。ただNo.9以降の「お産講座」が、すべてこの講演内容に含まれているわけではありません。それ以外の内容もあります。

冒頭に書きましたように、日本産婦人科学会での講演を土台にした「お産講座」は今回で終わります。長い間、お付き合いいただき、ありがとうございます。お疲れ様でした。

私は、産婦人科医として、臨床に従事しはじめたときから、素朴な疑問:1.何故陣痛ははじまるのか?2.何故このように恐ろしい妊娠中毒症が起こるのか?3.また何故未熟児が生まれるのか?これらの疑問に答えるべく、現在まで努力を継続しています。

2014年の今もこれらへの答えが、世界の研究者が競って研究しているにも関わらず、未だ答えが出せていない。全く産婦人科医の怠慢と不勉強というべきなのでしょうか?産婦人科医として、また多くの患者さんにも、恥ずかしく思うのは私だけでしょうか?

文献1Kim J et al. Sequence variants in oxytocin pathway genes and preterm birth: a candidate gene association study. BMC Medical Genetics 2013, 14: 77

文献2 Chard T et al. Release of oxytocin and vasopressin by the human foetus during labour. Nature 1971,234:352--4





















 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2012年5月19日に1回目を書いた「お産講座」は、これが34回目、最後になります。

 

Lecture on blood pressure in pregnancy (No.7) Mechanisms of blood pressure maintenance in pregnancy.






 


 


胎盤の構造図 

 

 

When the fetus exposed to hypoxia, the fetus redistributes its blood flow to survive. In this case, the fetus increase both angiotensin and vasopressin actively. It looks like contradictive in survival, since both angiotensin and vasopressin contract actively the vessels of the feto-placental unit. It is assumed that the more increased of fetal angiotensin and vasopressin, the more contraction will come to of the vessels of the feto-placenta. Therefore in this time and next I will answer to this contradictive question.

The vital organs for the fetus are essentially similar to the grown-up adults: brain, liver, kidney and placenta. These organs are rich in capillary.

As I explained in the previous blog No.5, the placental circulation occupies 40-50% of the feto-placental circulation reaching to 600ml/min.

In the next blog, I would show you the anatomy of capillary vessels of human placenta. It is known that the one aorta branch off repeatedly and finally reach to the capillary. The diameter of the capillary is about 8 micron (1/1000 mm) and the number of the capillary is about 50 hundred million.

The wall of capillary is very thin and devoid of both elastic fiber and smooth muscle cells. The wall of capillary is consisted of only endothelial cells.

Let’s consider the anatomy of human placenta. For your understanding,

the figure of the human placenta which is typically shown in the textbook.

Umbilical cord is a navel string and shown at the bottom of left corner of the figure. The blood from the fetus (left side) - which is poor with oxygen and rich in waste - pour into the placenta via 2 umbilical arteries (UA).  The placenta is floating in the retro-placental blood pool. The center of the figure is the placenta and it looks like a Christmas tree.

The background of the tree is the retro-placental blood pool. The face of a wall at the right side of the figure is the smooth muscle of the uterus.

The almost all of the placenta is composed of the leaves of the tree. The periphery of the umbilical artery changes to the capillary (leaf). The mean arterial pressure of the capillary such as in glomerulus of the kidney is around 20 mmHg. The mean arterial pressure of the capillary of the placenta is known to be around 10mmHg. The fetus takes oxygen and excretes waste via the capillaries of the placenta from the retro-placental blood pool filled with maternal arterial blood. Maternal uterine artery (abbreviated UTA) gush out arterial blood (rich in oxygen) into the retro-placental blood pool. Fetal blood now rich in oxygen returns to umbilical vein (UV) and reaches to the fetus.

Although the diameter of the capillaries is only about 8 micron, the number of the capillaries is extraordinary abundant. Therefore, the total cross section reaches about 7 hundred than artery. Both angiotensin and

vasopressin exert effect of their hormonal action by binding to the receptors located in smooth muscle that surrounds vessels (tree branch) and contract them. However the capillary (leaf) is devoid of smooth muscle, therefore, both angiotensin and vasopressin do not work at the capillary of the placenta.

At this point, I will end this blog and continue to the next.

 



理研笹井先生の死と今後の政府の成長戦略の関係


 
日本眼科学会と日本眼科医会でつくる日本眼科啓発会議が今年5月16日、眼の治療に使う計画が発表されているiPS細胞の臨床研究の限界に理解求める声明を発表しました。そこからは、加熱するiPS細胞の“万能性”に対する期待にブレーキをかけている臨床医や研究者の姿が読み取れます。少し声明の要点を紹介します。

日本眼科学会理事長の石橋達朗・九州大教授は「iPS細胞で全てが治るという間違った過度な期待がある」と警告を発しました。さらに加齢黄班変性の治療に、iPS細胞を使う臨床研究を進める理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の高橋政代・網膜再生医療研究プロジェクトリーダーの言葉が取り上げられています。

「今の再生医療はライト兄弟が300m飛んだのと同じ状況。誰もがシートベルトを締めるだけでハワイに行ける時代がすぐにでも来ると思っているが、まだまだ再生医療はリスクと背中合わせ。費用も高い」

加齢黄班変性の治療に、iPS細胞を使う理研の臨床研究の考えは、同研究センターの同僚だった故笹井芳樹・副センター長が、ES細胞から立体的な構造を持った網膜組織を作ったことがベースと考えられます。

理研は、20114月の英科学誌『ネイチャー』にマウスのES細胞から網膜全体を作ることに成功したと発表。ES細胞から網膜を立体的に作ったのは世界初で、研究チームは2年以内のヒトの網膜での実用化(今年になります)、更には臨床への応用を計画していると打ち上げました。

再生医療分野に、政府は多額の税金(研究費)を投入しています。しかし現場で実際に研究する彼らは、国民に対し安請け合いは出来ません。石橋達朗理事長の声明から研究者や臨床医の不安が透けて見えそうです。

細胞―器官(臓器)-臓器を統括する生命(力)と、私達は、細胞から成り立ち、細胞に始まる各段階を統括する生命力によって生かされています。

万能細胞で生命が蘇ると考えるのは、少し考えが甘いでしょう。

神戸市の理研CDBと周辺エリアには巨大なビルが張り付いています。

笹井芳樹副センター長が亡くなられた時、マスコミが「政府の今後の成長戦略にも影を落とす」とこぞって報道していました。これは、一体、どういう意味なのでしょうか。テレビ局によっては、建築中のビルを放映しながら、笹井副センター長の死を伝えていました。   

以下は、決して笹井副センター長がそうだったと申し上げているのではありません。

一体に医療はお金を儲けるための仕事ではありません。あくまで患者さんを救う手段なのです。その医療を景気回復の手段、成長戦略に組み込むとはどういう意味なのでしょうか。

CDBの周辺に競うようにしてビルを建てている企業は、何を狙っているのでしょうか。笹井副センター長が亡くなられたことは、確かに難病の治療を心待ちされている患者さんにとっては痛恨の極みです。

ただそのことと、経済的な損失が云々と言う話は、全く別物だと思うのです。この二つ、即ち難病治療という純粋な医学の話と経済的損失、再生医療による儲け話をないまぜにして論じることに、“小保方論文事件”の病巣の深さが垣間見えるようです。

患者さんを治療する臨床があってこそ、基礎医学は存在価値があります。


 臨床医学とは、病気で苦しむ患者さんと日々向き合い、病気の治癒を願い、地道な努力をする仕事です。

父が生前、臨床医は国手(こくしゅ)”と呼ばれていると話していました。病気で苦しむ患者さんを、国に変わって治療する職業という意味なのでしょうか。

ところが、最近の目覚ましい生物学の進歩とともに、臨床医学とそれを支えてきた基礎医学との間に大きな乖離が生じているようです。

分かり易いように、父が医者になりたてのころの話をします。
1900年、オーストリア生まれのユダヤ人、カール・ラントシュタイナーがヒトのABO式血液型を発見しました。そのあとすぐ日本でも、旧制金沢医大(現金沢大医学部)の古畑種基教授らの手で血液型の研究が進められました。

父は、古畑教授の下でB型の研究を担当しました。動物やヒトのB型血液の研究成果をまとめて、金沢医大から1933年に医学博士号を授与されました。

その後、現在の名古屋市立大の前身である、名古屋市民病院の産婦人科設立に加わり、産婦人科医として働きました。当時、臨床医学と基礎医学の距離はありませんでした。父は「当時は名古屋市民病院で輸血の出来る医師がいなかったため、金沢医大で研究した基礎医学が大変役立った」と私によく申していました。

私は1966年、名古屋大医学部を卒業しました。1年のインターンの後、名古屋大医学部産婦人科教室に大学院生として所属しました。当時の教授は、絨毛癌が専門でした。絨毛癌というのは、胎盤の癌と考えてください。病室には常時20人前後の絨毛癌の患者さんが入院していました。

この癌は胎盤から出来る癌です。皆さんは妊娠診断薬をご存じと思いますが、この検査の反応を陽性にするホルモンである胎盤性ゴナドトロピン(生殖腺刺激ホルモン)が、患者さんの尿や血液の中に排出されます。このため、絨毛癌の患者さんの診断や治療の目安を立てるには、胎盤性ゴナドトロピンを測るのが必須になるわけです。

今、皆さんは薬局で妊娠診断薬試薬を容易に手に入れることができます。妊娠診断薬試薬で陽性になるのは、胎盤性ゴナドトロピンが出てきているという事なのです。妊婦さんの尿をウサギに注射しますと、ウサギは排卵します。ウサギの排卵を開腹して観察する方法:これを生物学的妊娠診断法とよびまして、この方法は太平洋戦争の前から、絨毛癌の患者さんの診断や治療に広く行われていました。皆さんが薬局で買える妊娠診断薬試薬の方法は如何にも簡単ですね。この方法は、免疫学的妊娠診断法(試薬)とよばれます。

私が名古屋大医学部産婦人科大学院生時代には、この方法(免疫学的妊娠診断法)による、胎盤性ゴナドトロピンの測定は日本では大阪大、九州大、そして名古屋大の産婦人科教室でしかできない、特殊な(新しい)方法でした。この方法はそれまでのウサギによる測定と比べて、胎盤性ゴナドトロピンの量が正確に、またその測定システムが出来ておれば、簡単に多数の尿を測定する事が出来るのです。

この画期的な方法は、1960年、スウェーデンの基礎医学者(ワイドら)が開発したばかりの方法でした。名古屋大の産婦人科教室では、彼らの論文を参考にして、測定のための試薬を調整していたのですが、当初はなかなか論文のようにはうまく行きませんでした。先輩の先生方の必死の努力の結果名古屋大学産婦人科教室ではこのホルモン測定が何とか患者さんへの応用が出来るようになっていました。私の仕事は、教授回診に備えて多数の尿検体から測定したホルモン値を準備するのが日課でした。絨毛癌は悲惨な病気で、分娩後の若い女性が大勢亡くなられていました。

当時の教授は、この方法で患者さんの診断・治療に大変な努力をされました。名古屋大学産婦人科教室の絨毛癌治療分野への貢献は極めて大きく。その結果、35年以上まえには、日本では絨毛癌はほとんど存在しない癌になり、治癒する癌となったのです。

私は、いまでも、この基礎医学を応用した臨床に従事する仕事に携われたのを誇りに思っています。そんな検査試薬は、薬局ですぐ買えるじゃないかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、当時は大変な苦労をしてこのホルモンを測定したのです。

妊娠診断薬の試薬を使われる際は、この苦労話を少し思い出してください。

さて、前半の話は、輸血の臨床。後半の話は、癌などで使用されている腫瘍マーカーの走りと考えてください。

このように、基礎医学は患者さんのためになってこそ、その存在意義があると私は考えています。

大学院生時代の経験から、私は病気の診断・治療への基礎医学の応用を、その後の臨床に採り入れてきました。その一つが、妊娠中毒症や切迫早産のマーカーとしての、妊婦血のP-LAPの測定です。

さらに基礎医学と臨床医学の懸け橋となる研究発表の場を提供するため、名古屋大助教授時代に現在の日本病態プロテアーゼ学会(理事長:小林浩奈良県立医科大学産婦人科教授)の前身の研究会を立ち上げました。主に東京大を中心にした高名な基礎医学分野の先生方から力添えしてもらいました。お蔭様で今年も8月8日から2日間、大阪市で学会の総会を開きました。数えると19回目になっています。

ただ残念ながら、現在の日本では臨床医学と基礎医学の距離は離れて行っているようです。何故なのでしょう。臨床医が日々の臨床で忙しく、基礎的な勉強をしていないのでしょうか。

それとも、基礎医学があまりにも進み過ぎて、臨床を返り見ていないのでしょうか。

一つ言えることは、今の日本の基礎医学をリードする著名な先生方は、医学部での勉強をしておられない方々が多いということです。患者を診ずして、医学はあり得ません。

基礎医学の優れた先生方には、患者さんを治療する臨床あっての基礎医学であることを、しっかりと心に焼き付けてほしいのです。

また巨額な国家予算投が投入されている基礎分野への補助金を配分する行政の方々も、本年1月1日のP-LAPブログに書きましたように、米カリフォルニア大バークレー校のランディ・シェックマン教授が、英ネイチャー誌を批判された事、すなわちネイチャー誌は、「人目を引いたり、物議を醸したりする論文を載せる傾向がある」との見方を示し、が注目されやすい流行の研究分野を作り出すことで、その他の重要な分野がおろそかになる」と問題提起ことをこの際良く考えて頂きたいとおもいます。さらに今回の理研小保方論文のスキャンダルはまさにシェックマン教授の警告が正鵠を得たものであったのは皆様マスコミのおかげで良く理解されたとおもいます。

再生医療で一儲けしようとお考えの日本の企業の方々も、医療は金儲けではないことを今一度十分お考えください。








 

 

 

 

 

 

 

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