外国では、早産による低出生体重児の脳機能の低下や発達障害など
の予防にマグネシウム剤がよくつかわれているそうです。このほどオーストラリア、メルボルン大学の研究グループは、その効果を検証するため、妊娠30週に満たない時期に分娩が切迫していた妊婦さんに対して、硫酸マグネシウム剤の投与またはプラセボ(薬剤の入っていない偽薬)を投与し、その後、赤ちゃんが生まれてからそれらの児を6歳から11歳ぐらいになるまで脳機能や身体と精神・行動の発達を追跡調査しました。硫酸マグネシウム群は535例、プラセボ群は527例、追跡した児は約700例にのぼります。その結果、両群に有意な差はないことが判明しました。追跡した669児のうち、脳性麻痺になった児の割合は、マグネシウム群で295例中23例(8%)、プラセボ群では314例中21例(7%)、また、運動機能異常のある児の割合は、マグネシウム群で297例中80例(27%)、プラセボ群では300例中80例(27%)と、両群に差はありませんでした。マグネシウムは早産児の生後の脳性まひにとくに予防効果があると言われていますが、今回の結果はそれを裏付けるエビデンスにはならなかったのです。
参考:米国医師会雑誌 2014年9月 (the Journal of the American Medical Association. Sept. 17)