▽MSN産経ニュース(2011年11月30日)に『発達障害の児童・生徒が増加割合も上昇 長野』という見出しで次のような記事が掲載されました。
「学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害と判定された長野県内の公立小中学校に通う児童生徒数は4328人で、昨年度より546人増えていることが県教委のまとめで分かった。全児童生徒に対する割合は2・37%で、昨年度よりも0・32ポイント上昇した。それによると、LDは301人、ADHDは1330人、反抗挑戦性障害(ODD)は19人、アスペルガー症候群は844人、広汎性発達障害(PDD)や高機能自閉症(HFPDD)などその他の発達障害が1834人だった。」
▽発達障害患者や養護学校の生徒が急増していることには、医学界でも注目が集まっています。ある精神科医は、ブログで次のように指摘しています。
「私は精神科ですが、昨今の発達障害患者の急増ぶり、養護学校(特別支援学校)生徒数の急増ぶりに何か腑に落ちないものを感じていたところ、上記の記事(http://www.news-postseven.com/archives/20141229_295083.html)を目にしました。」
▽記事は、大手出版社・小学館の「ニュースポストセブン」が発信しています。「カンガルーケア」や行き過ぎた「完全母乳」という新生児管理が引き起こす「低血糖症」や「重症黄疸」が、最近の全国的な発達障害児の急増に影響しているのではないかと問題提起しています。
▽精神科医は、この記事を読んで「そういう背景があったのか」と納得し、この問題に対する産婦人科学会の受け止め方はどうなのか、と問いかけています。即ち周産期の対応で発達障害の発生率が異なるなら、少しでも減らす方向で努力すべきではないでしょうか、と私たち産婦人科医に訴えているのです。
▽「完全母乳」は、もともとWHO(世界保健機関)とユニセフ(国際連合児童基金)が、上水道普及率が低く、衛生環境が悪い発展途上国を対象に推進した哺育法でした。1970年代、2つの国際機関は、飢餓に直面するアフリカの赤ちゃんを救うために大量の粉ミルクと哺乳瓶を援助しました。
▽ところが、清潔な水がなかったため、母親たちは不衛生な川や井戸の水でミルクを作って哺乳瓶を洗い、赤ちゃんに感染症が爆発的に拡大してしまいました。
その教訓から、国際機関は途上国で母乳推進運動を展開したのです。
▽出産直後の母親は、3~5日くらい経たないと赤ちゃんの生存に必要な量の母乳が出ないことはよく知られています。そのため、糖水も与えないという度か過ぎた「完全母乳」は、赤ちゃんの低血糖につながる危険性が高いのです。そして最大の問題は、肝心の母親がそうしたリスクを伴うことを知らされておらず、「完全母乳」が正しいと思い込んで疑っていないことです。
▽さて、最近の発達障害患者の急増は、果たして「完全母乳」や「カンガルーケア」だけが原因なのでしょうか。我々のNPOは、かねてから現在の流・早産や妊娠高血圧症の標準治療薬の危険性に警鐘を鳴らし続けています。産婦人科学会は、虚心坦懐になって発達障害患者や特別支援学校の生徒が急増している実態を真剣に考えねばならないと思います。