▽朝日新聞デジタルが4月21日、次の様に報じていました。
警察庁の統計によると、2016年、320人の小中高校生が自殺で亡くなった。小学生12人、中学生93人、高校生215人。3分の2は男子だった。厚生労働省によると、15-19歳では自殺が死因の1位、10-14歳では2位だ。
▽16年の小中高生の自殺の原因(複数もある)を、警察庁の統計でみると、「学業不振」など学校問題が36・3%で最多。「親子関係の不和」など家庭問題23・4%、「うつ病」など健康問題19・7%と多岐にわたる。学校問題のうち、いじめが原因とされたのは全体の1・9%、6件だった。
▽自殺原因は、マスコミで大騒ぎされる学校問題が1.9%なのに対し、「うつ病」は10倍以上の19・7%に上っているのです。この実態を放置していいのでしょうか。マスコミは、どうして伝えないのでしょうか。不思議でなりません。
▽「うつ病」で自殺する若者が多いのは、私は早産治療薬ウテメリンなどベータ刺激剤の副作用と考えています。過去のブログでも何度も指摘しました。米国でもそういう研究報告が既に報告されているからです。
▽米ジョンズ・ホプキンズ大学のフランク・ウィッター教授は、産科治療に汎用されているベータ刺激剤の副作用に関する疫学研究を詳細に調べました。その結果、ベータ刺激剤を妊娠期間に使用することで胎児の脳に悪影響を及ぼしている可能性が明らかなのです。妊娠初期から中期にかけてベータ刺激剤を投与された妊婦から生まれた新生児は、自閉症の症状が多くみられました。さらにベータ刺激剤を投与されていた妊婦の新生児は、認知機能や運動機能の発達が遅れていました。
▽妊婦にベータ刺激剤を投与することによって、胎児の脳に悪影響が現れるという事実に対し、社会はほとんど目を向けていません。妊婦へのベータ刺激剤投与と青少年の自殺の因果関係に、社会はもっと敏感になるべきです。
▽英国の著名な疫学者のデビッド・バーカー博士は、低出生体重児の成長過程における自殺との関連性を調べました。バーカー博士は、その長期間の研究結果を2001年に発表した論文にまとめていますが、低出生体重児は成長後の精神障害やうつになるリスクが高いとしています。しかもリスクは、男性でより高いのです。
▽どうしてでしょう。母体に投与されたベータ刺激剤は、胎盤を通過して胎児にも働きます。その結果、生まれてくる赤ちゃんの自律神経が不安定になり、自閉症や精神障害、認知障害の危険性が高まるのです。とくに自閉症は自殺の原因の70%以上を占めているとされています。この問題が、いかに重要か、分かっていただけるでしょう。
▽海外では、ベータ刺激剤は妊婦に殆ど使用されていません。子供が自閉症になる危険性があるのだから、当然です。しかし日本では、ウテメリンなどのベータ刺激剤が漫然と妊婦に長期投与されています。厚労省の怠慢と言わざるを得ません。日本産科婦人科学会が発表した2017年改定版のガイドライン産科編も、早産治療にベータ刺激剤の使用を勧めています。
▽海外では早産治療にほとんど使用されていないベータ刺激剤が、日本では標準治療薬として広く使われています。国は、若者の自殺原因をまとめて発表するばかりでなく、どうして自閉症が多いのか、うつになるのか、といった根本原因を真剣に解明する時期ではないかと思うのです。
(1)F.Witter etal.American Journal of Obstetric and Gynecology 2009;261(6):553-9
(2)C.Thompson et al.British Journal of Psychiatrics2001;179:450-455