▽障害が比較的重い子供たちが通う「特別支援学校」で深刻な教室不足が続き、2016年10月現在、3430教室不足しているそうです。4月30日、朝日新聞デジタルが文部科学省の調査結果として報じていました。

 

▽近年、特別支援学校の在籍者が急増し教室数が追いついていないようです。文科省は、放置すれば、教育に支障が出る恐れがあるとして、全国の都道府県教委に補助金活用などによる教室不足の解消を求めています。

 

▽特別支援学校の小・中学部の1学級は6人が上限で重複障害児の場合は3人。幼稚部から高等部までの在籍者は15年に全国で13万8千人でした。これが、この10年間で1・36倍になったそうです。

 

▽中でも知的障害のある子供が増え、全体の9割を占めています。比較的障害が軽い子供が通っている小中学校の特別支援学級の在籍者も15年は全国で20万1千人でしたが、こちらもこの10年間で約2倍になったそうです。

 

▽文科省は、障害診断の普及が背景にあり、障害があると診断されると、支援が得やすい教育を望む保護者が増えた」と考えているようです。つまり特別支援学校の在籍者数が急増したのは、保護者の特別支援教育への理解が深まった結果、というのが文科省の”診断”です。

 

▽この診断通りなら、特別支援学校の通学対象になる子供たちは、以前から潜在的に多かったものの、障害診断の技術が未熟で通学を望む保護者も少なかった、ということになるでしょう。果たして、物事はそう単純なのでしょうか。

 

▽少し焼き直しになりますが、私は妊婦の早産治療に産婦人科医が安易に「ウテメリン」などベータ刺激剤を”子宮の張り止め薬”と称して投与しているのも一因ではないか、とみています。

 

▽ブログで何度も指摘していますが、「ウテメリン」などベータ刺激剤が妊婦の早産治療に長期かつ大量に投与されているのは、世界でも日本だけなのです。ベータ刺激剤は、母子に悪影響を及ぼすため、海外では早産治療にはほとんど使われていません。

 

▽これが、「グローバル・スタンダード(世界標準)」なのですが、日本ではベータ刺激剤が早産治療の標準治療薬になっています。日本産科婦人科学会の2017年改定版のガイドライン産科編も、早産治療にベータ刺激剤の使用を勧めています。

 

▽特別支援学校の教室不足を補うため補助金を増やしても、それでは根本的な解決にはならないでしょう。自殺する若者に自閉症の人が多いという事実と併せると、お母さんの胎内で育っている環境に問題がありはしないか、と考えるのに無理があるとは思いません。

 

▽国は、赤ちゃんが誕生した後のデータを集めるばかりでなく、赤ちゃんが胎内にいるとき、お母さんにどんな薬が投与されたのかもデータを取るべきです。妊婦に関連する診療報酬明細書(レセプト)を集めて、それをAI(人工知能)を使って解析する。個人情報保護との兼ね合いはありますが、ベータ刺激剤の投与と知的障害児の因果関係を調べるのはそう難しくないと思うのです。