▽講座152と講座153で 妊娠高血圧症や切迫早産の治療に降圧剤を使用するのは、胎児にとって果たして有益なのか?と問いかけました。

 

▽確かに現在では、妊娠高血圧症や切迫早産治療にニフェジピンなど降圧剤の使用は世界の標準かも知れません。ただ上記2つのブログを読んでいただくと、私の疑念にご理解をいただけるのでないかと思います。

 

▽ブログで世界の4大医学雑誌の1つ、英国医学雑誌『ランセット』が8月、「重症妊娠高血圧症の妊婦には経口降圧剤が有効。今後、妊娠高血圧症には経口降圧剤、とくにニフェジピンを使用すべき」とする論文を掲載したことを紹介しました。

 

▽著名な雑誌が、このような論文を掲載すれば、世界標準として妊娠高血圧症や切迫早産の治療薬に降圧剤を使うことが、ますます正当化されてしまいます。

 

▽しかし、私の過去50年以上の臨床経験に照らすと、妊娠高血圧症や切迫早産の治療薬に降圧剤を使うのは断じて容認できません。いても、たってもおれず、私は『ランセット』に自分の考えをまとめたコメントを投稿しました。

 

▽ところが、なんと投稿した翌日、編集長の判断で採用できないとの返事が届きました。悩みましたが、妊娠高血圧症や切迫早産治療にニフェジピンなど降圧剤の使用が標準治療となるのは周産期医学にとって決して好ましい事ではありません。そこでいわゆる雑誌としてのレベルはたとえ低くても、多くの方が読める雑誌(open access)への投稿を思い立ちました。

 

▽そういう雑誌の一つClinical Obstetrics, Gynecology and Reproductive Medicineに14日投稿しました。19日、2人の査読者(レフリー)の審査を経て採用されました。『ランセット』が即座に拒絶した内容そのままです。

 

▽雑誌は、本年最終号に掲載されますので、24日の水曜日には閲覧できます。時間が許される方は、上記の雑誌名のところをクリックすればアクセスできますので、どうかよろしくお願いします。

 

▽さて、この経緯をどう考えたらよいのでしょうか。英国の権威ある医学雑誌の編集長は、既に掲載した論文とは真逆になる私のコメントを掲載するのは、面子がなくなる、とでも考えたのでしょうか?

 

▽真相は分かりませんが、”権威”に挑戦する難しさを体験させられたことだけは明らかです。

 

▽ここ数年、診察時間の合間をみて、ブログをこつこつと書いています。過去の研究や臨床例も少しずつですが、発信しています。

 

▽真実は必ず岩をも砕くとの信念のもとに、今回ランセットへの反論のコメントを投稿しました。どうか皆さんよろしくお願いします。