P-LAP:オキシトシンはヒトの脳下垂体(胎児と母体)から分泌されます。オキシトシンは妊娠末期の子宮を強力に収縮させるので、陣痛誘発剤として広く使用されます。しかしながら、妊娠中期の子宮は、オキシトシンによって殆ど収縮しません:妊娠中期の子宮はオキシトシンに抵抗性があります。一方、オキシトシンは胎児・胎盤系では、その発育因子の一つとして働いているようです。すなわちオキシトシンの作用は、母体側と胎児側では、全く異なっているようです。P-LAP はヒト胎盤で作られ、胎盤と母体血液ではオキシトシンの分解酵素として働いています(オキシトシナーゼ)。我々は1970年頃から、オキシトシナーゼをP-LAPと命名して、胎盤機能検査として、臨床応用してきました。P-LAPは非妊娠血液には存在しません。妊娠時には、妊娠の進行とともに増加をし、妊娠末期には約100単位に増加します。P-LAPの測定は簡単で、迅速に行えますので、胎盤機能の評価には信頼のおける検査の一つです。私が、日本産科婦人科学会理事として働いていました時には、P-LAPの検査は健康保険適用の胎盤機能検査として認められていましたが、私が名古屋大学退官後しばらくすると、P-LAPの検査は健康保険適用から除外され、しかも若い産婦人科医の教育プログラムの中の指針からも除外されてしまいました。

 

しかしながら、どっこい私のネーミングのP-LAPは生きていて、本年9月に、イタリアでinsulin-regulated aminopeptidase (IRAP)/oxytocinase/placental leucine aminopeptidaseの研究会がPhilip Thompson and Siew-Yeen Chai (Monash University) Anders Hallberg (Uppsala University)らが主催して開催されます:Italian city of Prato from September 9-11, 2013。ですから、私が1970年頃から始めたP-LAPの研究は今や世界で広くおこなわれているのです。残念ながら、産婦人科領域ではなく、免疫学、糖尿病研究や脳・神経(記憶 )分野など幅広い分野でP-LAP研究は発展しています。