前回のブログで「20代の自殺率が最も増加している」という情報をお伝えしました。では、この傾向は世界の中で見るとどうなるのでしょうか?

 

<先進国の15-34歳の死因>

 

フランス

ドイツ

イタリア

アメリカ

イギリス

韓国

日本

1

事故

事故

事故

事故

事故

事故

自殺

2

自殺

自殺

がん

殺人

がん

自殺

事故

3

がん

がん

自殺

自殺

自殺

がん

がん

(自殺対策白書)

 

このデータは実に重要なことを私たちに伝えようとしています。この表から、先進国で若い人の死因第1位は「事故」ですが、日本だけが「自殺」です。もう一つは先進国のいずれも自殺は若者の死因の3位以内に入っています。

なぜ、自殺はこのように世界の先進国に蔓延し、とくに日本で顕著に現れるのでしょうか?多くの専門家は、経済状況の悪化や就業ができない若い人々が溢れている状況を指摘しています。しかし、社会環境が厳しい時期はなにも現在だけではありません。過去にもそのような厳しい現実は多くあったのです。これほど容易に自殺を実行する背景はとても環境要因だけでは説明できません。

 

私は臨床医師・医学者として長年産科に取り組んできました。その経験から、事態はそれほど単純ではないと感じています。間違った医療やリスクの高い薬の投与から来る原因を見落としてはならないと強く感じています。

前回のブログでご説明したように、過去には胎児に影響がある薬剤が多く投与されているのです。その影響を受けたと推測される子供さんは現在20歳代から30歳代になろうとしています。ヒトの胎児は人類の数万年の歴史を僅か10ヶ月の妊娠期間で再現しながら発達します。私はここに原因の中心があると確信しています。つまり、お母さんのお腹にいる間が生まれてくる個人の最も重要で決定的な時期だと思うのです。この10ヶ月間で好ましくないことが重なると生まれてきた子供は大きなハンディキャップを背負います。しかし、この時期を何とか乗り越えて大きなストレスを被ることなく過ごせた胎児とお母さんは幸せです。

 

皆さんもぜひ産科医療の重大さを再認識いただき、ぜひとも我々の目指す安全な医療をご支援いただきたいと思います。


 

参考:Mizutani S et al. New insights into the role of aminopeptidases in the treatment for both preeclampsia and preterm labor. Expert Opin Investig Drugs. 2013 Aug. 10