米国では、99日は「アルコール性胎児異常の日」とされています。アルコール性胎児異常とは、妊婦さんが飲酒をすることでお腹の中の赤ちゃん(胎児)が生まれてから精神的異常を発症するという極めて重大な問題です。一旦赤ちゃんがこの影響を受けると、その障害は一生続きます。生まれた赤ちゃんは、まず、顔面の状態が変わり、目と目の間隔が狭くなり唇が隆起するなどの変形が起こる場合があります。さらに、言語障害や社会性の遅延などの問題や知能発達の遅れがみられることがあります。妊娠中の飲酒に関して、胎児に安全なアルコール摂取レベルに関する知見は現在ありません。ですから、妊娠中は飲酒を避けることが重要と考えられます。


胎児がお母さんのお腹の中で成長する期間、つまり妊娠期間は、胎児にとって一生の健康を決められてしまうほど重要な時期です。この間に胎児へ影響する外部からの刺激があると胎児は敏感に反応するのです。これまでのブログで紹介しましたベータ刺激薬やマグネシウムなどの薬剤も同じです。ある種の精神安定剤も過去に重大な薬害をもたらしたことはよくご存じだと思います。


妊婦さんに対する各種の薬剤の安全性や起こりうる副作用に関して多くの情報をまとめた参考書が販売されています。しかし、妊娠期間に起こりうる胎児への影響について総合的に情報を集積し、それを解説した参考書は見たことがありません。それだけに、「妊娠と胎児」に関する研究はまだまだ少なく、これから多くの問題に取り組まなければならないと考えられるのです。


参考:http://www.niaaa.nih..gov/alcohol/fetal-alcohol-exposure