▽アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応(特定の抗原に対する生体の過剰な反応)と関連して皮膚に炎症がおこる過敏症の一種と考えられています。皮膚病領域では“現代病”の代表的な存在で原因は解明されていません。不快なかゆみを伴う湿疹が、繰り返し現れて「生活の質」を著しく低下させます。

▽読売オンラインニュースなどによると、理化学研究所(理研、埼玉県和光市)が2016年4月26日、アトピー性皮膚炎の原因となる遺伝子を、マウスを使った実験で突き止めたと発表しました。

これは、新たな治療薬や予防法の開発などにつながる成果で米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版に掲載される、と報じられています。

▽記事などによれば、理研の研究チームはアトピー性皮膚炎を発症するマウスを調べ、「JAK1」というたんぱく質の遺伝子の一部が変化し、異常に活性化しているのを突き止めた。その結果、皮膚の角質に働く酵素も活性化し、角質がはがれて刺激を受けやすくなっていることが分かった。

そこで、「JAK1」の働きを防ぐ薬をマウスに塗ると、アトピー性皮膚炎の発症を予防できたという内容です。

▽アトピー性皮膚炎で苦しむ患者さんは多数いらっしゃいます。この理研の発表は、多くの患者さんに夢と期待を持たせる話です。

 

▽ところで、皆さんは、2014年3月に表面化した横浜市の「漢方クリーム事件」を覚えていらっしゃいますか? ノンステロイドの「漢方クリーム」と称する軟膏でアトピー性皮膚炎を治療するとして、実際は最強力とされるステロイド(副腎皮質ホルモン)入りの軟膏を処方されていました。被害者弁護団によると、被害に遭われた患者さんは2000人以上。アトピー性皮膚炎の患者さんが、いかに多いか、そして治療で悩んでいらっしゃるか。「漢方クリーム事件」は、危険なアトピー性皮膚炎の治療法がいかに浸透しているか、深刻さを浮き彫りにしました。

 

▽失礼ながら、今回の理研の発表は、「スタップ細胞の作製に成功した」とする論文を英国の有名雑誌に投稿した小保方晴子氏や網膜黄斑変性にiPS細胞を使った手術をして失明を防ぐという高橋政代氏の話と重ね合わさるのです。

 

▽「JAK1」というたんぱく質は、細胞に何らかの刺激が与えられて、サイトカインという物質が増加すると結果的に出てきます。細胞内の情報を伝える生体にはどの細胞にも存在する蛋白の一つです。

従って「JAK1」は、免疫、炎症、細胞の増殖、分化、細胞死、あるいは創傷治癒など広く生命現象に関係する細胞内の情報を伝える蛋白なのです。

 

▽ですから、この治療法、即ち「JAK1」の働きを防ぐという方法は、基本的にアトピー性皮膚炎の根本治療法にはなりえません。アトピー性皮膚炎患者の体内に結果として起こる免疫現象を抑えるにすぎません。その一方で、「JAK1」は広く生命現象に関係する細胞内の情報を伝える蛋白であるため、働きが抑制されることで多くの副作用が現れると考えられます。

 

1990年代、日本ではマスコミがアトピー性皮膚炎とステロイド外用薬に関する誤った情報を大々的に報道し爆発的に拡散させました。その結果、ステロイド内服薬の副作用が外用薬の副作用と間違えられるなど、今でも誤った情報が混乱した後遺症が残っています。

 

▽アトピー性皮膚炎の症状は、ステロイド外用薬の悪影響という意見を持たれている医師も、ごく少数ですが、いらっしゃいます。私は、この少数派の意見に共感を持っている一人です。今では一般的に、皮膚科の医師がステロイド外用薬をアトピー性皮膚炎の治療に用いることは殆どないとされています。果たして、これは本当なのでしょうか。

 

▽かなり以前から、私はアトピー性皮膚炎の原因は親の過保護とステロイド外用薬の使用と考えていました。30数年前、長男が誕生しました。ちょうど寒くなり始めたころでした。長男の誕生後間もなく、私は浜松医科大から浜松医療センターへ異動。家族も浜松医大の宿舎から医療センターの宿舎に転居しました。

 

▽家内は、誕生間もない長男を寒さから守るため、衣服を重ね着していました。当然、長男の体は蒸れて湿疹(あせも)が出来ました。皮膚科を受診したら早速、ステロイド外用薬を処方されました。私は、すぐさま使うのを止めさせて、オリーブ油のみに切り替えました。お蔭で長男は、その後アトピー性皮膚炎とは無縁でした。

 

▽最近、私のクリニックに長女のアトピー性皮膚炎で悩んでいらっしゃる子宮内膜症の患者さんが来られました。私が、さきほど書いた長男の誕生間もないころの話を紹介したところ、十分理解されました。私は、生まれて間もないわが子への過保護による湿疹(あせも)治療の間違いが、アトピー性皮膚炎という“難病”の主因ではないかと考えています。患者さんには次女の方もいらっしゃいますが、アトピー性皮膚炎とは無縁です。最初に生まれた娘さんということで、ご両親は過保護に育てられたのでしょう。事実、そうおっしゃっていました。

 

繰り返しになりますが、アトピー性皮膚炎は原因遺伝子の働きではなく、保護者の過保護に端を発した「医原病」、と私は睨んでいます。医原病は、名前のごとく医療が原因の疾患です。医師の誤診や医療過誤、あるいは使用した薬剤や医療機器などに、病気の原因があるのです。

 

▽さて、理研は日本を代表する研究機関の1つです。国は多額の予算を投入しています。しかしながら、今回の研究成果は、直ちにアトピー性皮膚炎に悩む患者さんのためになるのでしょうか。はなはだ疑問に思っています。参考に過去の次の2つのブログも併せてお読みください。

http://livedoor.blogcms.jp/blog/plap/article/edit?id=40339317

http://livedoor.blogcms.jp/blog/plap/article/edit?id=44926302