▽経口避妊薬のピルには女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれています。欧州ではプロゲステロンのみのピルも使われています。ピルが卵巣がんのリスクを下げることは、過去のブログ(講座No.76)で取り上げました。これとは別の研究ですが、新しいタイプのピルも卵巣癌のリスクを下げることが判明しました。このピルは「低用量ピル」と呼ばれ、エストロゲンの量が少なく、プロゲステロンのタイプも以前のピルと違います。この研究はBMJ誌が2018年の9月26日号に掲載しました。

 

▽英スコットランドのアバディーン大学応用健康科学研究所のリサ・アイバーセン 博士(Dr Lisa Iversen)らによると、このピルは服用を止めても、卵巣がんの予防効果は数年維持されるそうです。15歳-49歳のデンマーク人1.9百万人に「低用量ピル」とプロゲステロンのみのピルを服用してもらい、卵巣がんへの影響を調べました。内服成績は、デンマークの癌登録記録(1995年2014年)を調べています。

 

▽対象者を3グループに分類。第1グループは経口避妊薬の非使用者。第2グループは調査時点あるいは1年以内の経口避妊薬の内服者。第3グループは、1年以上前の経口避妊薬の内服者。

 

▽デンマークでは女性の86%が経口避妊薬を服用していましたが、対象者の年齢やその他の因子を分析した結果、卵巣がんは経口避妊薬の非使用者に最も多いことが明らかになりました。また卵巣がんの患者数は、ある時点ではエストロゲンとプロゲステロン合剤のピル内服者は劇的に少なくなっていました。ただプロゲステロ単独含有のピルは、合剤ピルと同じ程度の卵巣がんの予防効果はありませんでした。

 

▽アイバーセン博士らは「もしピルが卵巣がんの予防効果に役立つなら、21%の卵巣がんを減らすと推測できる」と述べています。

 

▽この研究は、「低用量ピル」でも、従来から言われていた「ピルは卵巣がんのリスクを低下させる」という事実を再確認したことを示しています。卵巣がんは、進行性がんになるまで発見されず、死亡例の多いがんです。そのため合剤ピルの内服は、がん予防の一助として大切なことと思われます。

 

▽卵巣がんは、診断が遅れがちになり、長期予後が悪いため、予防の大切さは論を待ちません。臨床医は、患者から避妊のためにピル内服の相談を受けた際は、卵巣がんが減少することも、大いに考慮して患者に勧めるべきでしょう。

 

▽この研究は、米国のABC News、HealthDay、 Newsweek 英国のTheGuardianといった一般の大手マスコミも大々的に報道しています。

 

※こちらの方URL:https://ja.onlinemedicineinfo.com/birth-control-pills-may-protect-against-some-cancers-51483の記事も参考にしてください。