▽ホルモン補充療法(HRT)が、血管性痴呆やアルツハイマー病の予防に有効なことは、これまでも一連のブログ(講座)で指摘してきました。

 

▽最近、国立がん研究センターの研究グループが、初潮から閉経までの期間が長い女性は認知機能障害のリスクが低くなるという研究成果

<a href="https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8394.html">こちら</a>を発表しました。

 

▽研究は、1990年に長野県南佐久郡8町村の一般住民に実施した健康関連調査の回答者約1万2000人(40-59歳)のうち、2014-15年に実施した「こころの検診」にも参加した女性747人を対象としてます。

 

▽「こころの検診」の認知機能検査では、「うつ」と診断された人などを除いた670人中227人が、認知機能障害(内訳は軽度認知障害196人、認知症31人)と診断されました。

▽この227人については、月経に関連する情報と認知機能障害の発症リスクとの関連が検討されました。その結果、初潮から閉経までの期間が長いほど、認知機能障害のリスクが有意に低下することが分かったのです(傾向性P=0.032)。

 

▽具体的には、初潮から閉経までの期間が33年以下の人たちの認知機能障害の発症リスクを1とした場合、38年以上の人たちのリスクは0.62となって、38%の有意なリスク低下が認められました(P<0.05)。

 

▽以上の結果から、エストロゲンの曝露期間が長い、つまり、初潮から閉経までの期間が長いほど、認知機能障害を防ぐように働く可能性が示唆されたのです。

 

文献:

Shimizu Y, et al. Maturitas. 2019 Jul 2. [https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31561818 Epub ahead of print]